逃亡見聞録_d

南から逃げてきた

鼻で嗤う墨

近所の桜に気づくと緑が少しづつ混じるようになり、すっかり春も馴染んだところです。新入社員の方々も社会人の無責任なアドバイスに慣れ、隠れて鼻で嗤うくらいはそろそろしてくれ。

先日、自分の所属するプロジェクトに中途採用の新人が配属された。新入社員でこそないし、自分よりも歳上だったが、久々の新鮮な空気を喜んだ。なにしろ今までずっと上司ハゲと二人きりだったのだ。正直、なんでもいい。正直、仕事とかしなくてもいい。正直、人じゃなくてもいい。正直ベース。

しかも、この新人、「未経験で1番できる」と営業のお墨付きである。未経験で1番できる?なにそれ?と正直、今になっては思うが、正直、降りかかるタスクの量に四十肩になりかけていた自分は、正直にマジで嬉しかった。正直ベース。

配属されて来た新人は、とても感じの良い人物だった。いや、かなり良かったと思う。多分。なんか、人当たりの良さが脇とかから出てたし、礼儀も完璧だったような気がする。まぁ、正直に言うとあんまり印象が残ってない。正直ベース。仕方ないベースで言うと、配属3日目で出社拒否したんだから仕方ない。

出社拒否の理由は「鬱っぽいやつになった」。ハゲ上司はもう感想も何も無かったらしく、言い訳がましい営業からの電話を無言で応えていて、向こうが会話に詰まった瞬間、速攻で切っていた。

それ以来、新人は姿を見せない。会社に尋ねたが連絡取れず、音信不通だそうな。プロジェクトは自分と上司の二人きりに戻り、建前上、3人ベースで組まれていたスケジュールを2人でこなすことになったのだ。正直しんどい。正直ベース。増員は無いのかと尋ねたのだが、お金の問題で無いのだそう。予算ベース。